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連続テレビ小説「ばけばけ」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『ばけばけ』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第118回第24週『カイダン、カク、シマス。』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


ヘブン(トミー・バストウ)と自分は同じだと話す、司之介(岡部たかし)。共感したヘブンは、司之介に本心を打ち明ける。そして、2人は秘密を守る仲間となった。家ではトキ(髙石あかり)が子供たちと遊びながらヘブンの帰りを待っていた。そこに、丈(杉田雷麟)が訪れる。司之介はヘブンの秘密を守るため丈を仲間に引きこもうと動く。ヘブン、司之介、丈は、ヘブンの秘密を守り、家族の幸せを守るために動き出す。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


原作:なし
脚本:ふじきみつ彦(過去作/バイプレイヤーズ,きょうの猫村さん,一橋桐子の犯罪日記)
演出:村橋直樹(過去作/まれ,透明なゆりかご,サギデカ) 第1,2,5,7,13,14,19,23
   泉並敬眞(過去作/スカーレット,カムカムエブリバディ,ブギウギ) 第3,6,9,12,15,18,24
   松岡一史(過去作/まんぷく,心の傷を癒すということ,カムカムエブリバディ) 第4,8,10,16
   小島東洋(過去作/『ばけばけ』助監督) 第11,21
   小林直毅(過去作/『ばけばけ』助監督) 第17,20,22
制作統括:橋爪國臣(過去作/青天を衝け,あなたのブツが、ここに,ブギウギ)
音楽:牛尾憲輔(過去作/チェンソーマン,僕の心のヤバイやつ,ダンダダン)
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
土曜日版ナレーション:北郷美穂子(NHK大阪アナウンサー)
副音声解説:山崎健太郎(過去作/舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ,虎に翼,おむすび)
副音声日本語吹替:西地修哉(ヘブン担当)、木村はるか(リヨ担当)
タイトル写真:川島小鳥(過去作/未来ちゃん,SHISHAMOアートワーク)
タイトルロゴ:西沢和樹(instagram.com/nishizawa_k/)
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、川野秀昭、田中陽児|美術:山内浩幹、淀裕矢、向理沙、有本弘、和田岳秋|技術:増田徹、備中正幸、酒井俊史|音響効果:松本有加、巽浩悦、吉田直矢|撮影:岩崎亮、関照男|照明:根来伴承、大西弘憲、武井美晴|音声:吉竹淳樹、稲垣雄二、大成友二、安河内裕斗|映像技術:前田惇徳、原幸介、山下健、若嶋なな、日野維乃|カラーグレーディング:原幸介、前田惇徳、山下健、日野維乃、若嶋なな|VFX:西垣友貴、神戸大樹、山田茂人、北島規、北島規、眞弓敬司|CG:大西智子、空閑卓海、古市百人、佐藤望、田邊亮哉、大関聡|美術進行:澤幸樹、嶋原広起、大塚良子、厚朴美沙子、毛尾喜泰|装置:佐藤千織、坂口大吾、山中宏華、澤井洸、平松康、吉田隆広、布川紗生、大島櫻子|装飾:津村政幸、横田浩之、長洲史、横田浩之、高浪隆史、三好勇作、石井千尋、三村つかさ、田中美紅|特殊効果:奥村陵、宮崎真有|衣装:横山智和、中村みのり、鍛本美佐子、横山智和、石川カンナ|メイク:堀洋子、正田早百合、秋山直美、櫻井安里紗|持道具:楠正由貴、森上陽子、高屋友里|かつら:松本誠也、丹波峯子、山崎浩彦、栗野洋子|特殊メイク:江川悦子、権田日和、山埼佳子|特殊メイク協力:荒井律子、大谷美咲、山埼佳子|助監督:小林直毅、小島東洋、田中陽児、早川俊介、岡本拓大、後藤怜亜、大野陽平、小峰陸矢、上野香織、佐伯木乃実、畝岡歩未、増田愛海、野曾原明香、中元芽生、佐々木俊、石名遥、木村修|制作担当:木村晴治、長岡しのぶ、本田良太、森岡あゆみ、片山哲治、斎藤明日香、竹本航、徳岡美紀、奥山温子|取材:川野秀昭、鈴木航|編集:藤澤加奈子|記録:木本裕美|時代・風俗考証:刑部芳則|松江風俗考証:藤岡大拙|出雲ことば指導:多々納斉、松島彩|熊本ことば指導:梅原勇輝|所作指導:藤間豊宏|料理指導:広里貴子|英語指導:塩屋孔章、ネイサン・ベリー、米倉リエナ|英字指導:前田祐加|眼科指導:大路正人、川村肇|医事指導:矢木崇善|助産指導:前田利子|怪談ばなし指導:玉田玉秀斎|茶道指導:有澤一男|三味線指導(タエ):菊央雄司|三味線指導(遊郭):長江浩子|アクション指導:中村健人|日本画指導:諫山恵実|絵画指導:苅谷昌江|華道指導:神前光園|造園:堤正和、宮崎昭徳|書道指導:今口鷲外|ほら貝指導:林龍沁
※敬称略




動かぬ水曜、動く裏話… 八雲パートが本編超えの面白さ

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―――ここまで、ごあいさつ―――

月曜日の感想で予想したとおり、《怪談ネタは金曜日までお預け》は、今回もそのとおりとなった。

と同時に、3日間連続でメインタイトル映像が「長尺版(月曜日版)」であるから、短縮版の放送回よりも明らかに内容的なものがないことも、当然であり。

且つ、本作に限らないが、朝ドラ安定の「何も起こらない水曜日」ということだ。

もちろん、こうなることはきのうから分かっていたこと。

よって、「先手必勝」なる言葉があるように、私も昨夜に先手を打って、小泉八雲が帝大をクビになる点発に関する史実をまとめた「補足記事」を投稿しておいた。

「ヘブンの物語」は別にして、「八雲の物語」としては格段に “本作より面白い” はずなので、是非とも読んでいただきたい

朝ドラ「ばけばけ」東大学長も驚く高給取り!手紙1通でクビになった小泉八雲の意地|ディレクターの目線blog 新窓で開きます


水曜は“ネタ振り渋滞” 怪談前夜ののらりくらり運転

それにしても、メインタイトル映像明けも‘のらりくらり’である。

もちろん、随所に《怪談ネタは金曜日までお預け》のための “ネタ振り” は行われている。

例えば、長男の勘太(ウェンドランド浅田ジョージ)が言った次のセリフだ。


勘太「僕でも分かる本がいいな!」

もちろんこれは、小泉八雲の妻セツさんが、自分が学問がないゆえに「私が読める本、読みたい本を書いてほしい」と夫に願い、それがベストセラー『KAIDAN(怪談)』になるという[史実]をアレンジしたセリフだろう。

いいや、きっと、同じセリフを金曜日にトキ(高石あかり※高=はしごだか)にも言わせるはずである。

だとしても、「ネタ振りをやれば引っ張れる」というものでもないと思うが。


薄味展開の正体 “感動の小手先”が物語を弱くする

今週は、《『ばけばけ』の物語が"薄っぺら"に見えてしまう理由》と題して書いている。

月曜と火曜日をまとめると、こんな感じだ。

つまり、「感動させよう」とする小手先のテクニックが限界にきているのだ。

今回でいうなら、物語に変化をつけるために、「突然、久しぶりのサブキャラクターを登場させる」「メインキャラクターに秘密を持たせる」といった手法を使ったことだ。

しかし、こんなのは「ただの現状を描いているだけ」にすぎないのだ。

それこそ、主人公一家が熊本に移住してからの「本作」は、たとえ大きな事件が起こらない物語であっても、登場人物が何を考えて動いているのかをはっきりと示す必要があった(ある)と思う。

画面の中にいる人たちの気持ちや目的が伝わってこないと、見ている側は物語に集中できないからだ。


薄れた"相棒"の物語 描かれないトキとヘブンの本来の役割

本作において、ヘブン(トミー・バストウ)は文章を書く専門家であり、トキは彼を支える大切なパートナーという役割を持っている。

しかし、特に「熊本移住」以降の物語ではトキとヘブンの関係や仕事に対する姿勢が十分に表現されていない

たとえ劇中で長い年月が過ぎたとしても、彼らが本来持っている役割、それこそ、錦織(吉沢亮)が生きていた時代の “ヘブンを支えるトキ” を含め、錦織亡き後の “二代目リテラシーアシスタントとして” をしっかり描くべきである。


理由なき日常描写 “丁寧”と“ただのルーティン”の違い

映像に目を向けてみよう。

確かに、ヘブンが机に向かう姿や、トキが彼を外出に誘う場面は確かに存在する。

だが、それらが単なる毎日の習慣のように見えてしまうのが惜しいことだ。

もちろん、いつも書くように《日常を丁寧に描くことは大事》だ。

しかし、なぜ執筆に打ち込んでいるのか、なぜ外へ連れ出そうとしているのかといった具体的な理由が見えてこないため、見ている人は彼らの熱意を感じ取ることが難しくなっているのだ。

だって、《日常にだって理由がある》のだ。

そこを掘り下げて描かなければ、《ただ、日々のルーティンを描いているだけ》になる。

それを《日常を丁寧に描いている》とは言わないはずである。


帝大解雇は転機…創作を解き放つ“見せなかったドラマ”

私は、あと少しの演出や丁寧な描写を加えるだけで、登場人物の必死な思いや相手を助けようとする優しさはもっと伝わるはずだと思う。

「特別なことが何もない水曜日」だからこそ、そこに生きる人たちの心の内側を丁寧に映し出すことが、ドラマとしての深みを生む鍵となるのでは?

その意味で、本作には次の視点が欠落していると考える。

それは、下記の三点だ。

●帝大からの突然の解雇は、ヘブンにとって精神的にも経済的にも大打撃だった
●しかしその「巨額の収入源の喪失」が、逆説的にヘブンを執筆へと駆り立て、後世に残る名作の誕生につながる
●もしも帝大に残り続けていたら、ヘブンの代表作の多くは生まれなかった可能性がある

要するに、《帝大解雇は悲劇ではなく、ヘブンの創作を解き放った転機だった》と思わせる展開にするべきだったのだ。

解雇を家族に隠そうが隠さなかろうが、《ヘブンが苦悩する中で、ベストセラーに一縷(いちる)の望みを見出し、相棒である妻トキが怪談の語り聞かせを始める》を一週間かけて描けばよかっただけなのだ。

そんな一工夫、いや、ワンシーン、ワンカットがあるかないかで、雲泥の差になっていると思う。


あとがき

千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館の第5展示室(近代)が、約30?33年ぶりとなる大規模なリニューアルを経て、2026年3月17日(火)に再オープンしました。

歴博「近代」展示が33年ぶりに刷新 ─ 入館料も改定へ | ニュース | アイエム[インターネットミュージアム] 新窓で開きます

早速、初日に来館して見てきました。

すると、展示の中に「ラフカディオ・ハーン」を見つけました。

明治維新によって、一気に西洋化を進める日本政府がたくさんの外国人を雇用したというくだりの中にありました。

訪問の機会がありましたら忘れずに見てみてください。


歴博「近代」展示が33年ぶりに刷新


厳選『ばけばけ』で描かれない秘話の解説リンク集
●八雲×セツ「万物に霊が宿るアニミズム思想」 → こちら 新窓で開きます
●八雲先生が"英語"で伝えた日本の文化 → こちら 新窓で開きます
●八雲先生が"英語"で伝えた日本の文化 → こちら 新窓で開きます
●超裕福生活でも"熊本生活は3年間"のワケ → こちら 新窓で開きます
●八雲の"息子の名前の由来"と"英才教育" → こちら 新窓で開きます
※他のリンクは下記↓の折り畳みの中!

文中の方言風の創作セリフは、下記のサイトを利用しています。
恋する方言変換 | BEPPERちゃんねる 新窓で開きます


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終のひと

TBS系・ドラマストリーム『終のひと 』
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第9話『俺たちに明日はない~余命1ヶ月の逃避行~』の感想。
※原作の漫画、清水俊『終のひと』(全5巻)は読了。



岬(望月春希)から突然「誘拐してほしい」と頼まれ、嗣江(柿澤勇人)は戸惑いを隠せない。岬の願いは、小学1年生の時の担任教師に会うため、1日だけ病院から連れ出してほしいというもの。「明日死ぬとしても夢を持つのは自由、やりたいことがあるならやるべき」と琢磨(市原匠悟)に言われた岬が最初に思い浮かべた夢である。しかし体調を案じた嗣江は断固として拒む。それでも退院を翌日に控えた岬が“本当の想い”を打ち明けたことで、嗣江の心は揺れ動き始める…。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---


原作(漫画):清水俊『終のひと』
脚本:倉光泰子(過去作/ラヴソング,王様に捧ぐ薬指) 第1,2,4,6
   川﨑龍太(過去作/相棒,特捜9) 第3,8,9
   金子鈴幸(過去作/ちはやふる-めぐり-) 第5
   湯田美帆(過去作/帰ってきたらいっぱいして。) 第7
演出:小村昌士(過去作/サブスク彼女) 第1~4,8,9
   大内舞子(過去作/王様に捧ぐ薬指,フェルマーの料理) 第5,6,7
音楽:境直哉(過去作/不明)
P:佐井大紀(過去作/あのクズを殴ってやりたいんだ)
   池本翔(過去作/ifの世界で恋がはじまる)
※敬称略


名作映画になぞらえた逃避行と、死の影に差す一筋の希望

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―――ここまで、ごあいさつ―――

今回のスタッフも、前回と同様の《脚本・川﨑龍太×演出・小村昌士》のコンビ。
内容は、前回との「前後編」であると同時に、誘拐して欲しいという岬(望月春希)の物語と、余命宣告を受けた葬儀屋の嗣江(柿澤勇人)の物語の「二本立て」という変則バターンだ。

しかし、捻りを利かせた展開だったのは前回の「前編」のみで、「後編」である今回は至ってフツーの展開だ。

敢えて言うなら、第9話のサブタイトル『俺たちに明日はない~余命1ヶ月の逃避行~』をそのまま映像化したような内容だ。

解説するまでもないが、サブタイトルに引用されている『俺たちに明日はない』は、1967年制作のアメリカ映画で、アメリカン・ニューシネマというムーブメントをけん引する映画の一つだ。

解説するまでもないが、サブタイトルに引用されている『俺たちに明日はない』は、1967年制作のアメリカ映画で、アメリカン・ニューシネマというムーブメントをけん引する映画の一つだ。

というわけで、本作の嗣江と岬が、『俺たちに明日はない』のボニー&クライドという建付けだ。

但し、全体に流れる空気感は、本作ならではの《臨終=人が息を引き取る間際、または亡くなる瞬間のことを指す仏教用語「臨命終時」の略》である。

明るい未来を描くわけではないが、前回で足の切断をしたサッカー少年・琢磨(市原匠悟)を盛り込むことで、希望の光を盛り込んだのが本作の良心であり救いだ。

しかし、やはりそこは、“連ドラ” としても、嗣江の死期にしても、最後が近づいているため切実な内容だった。

次回は、最終章で最終回直前回、どのような展開になるのか楽しみだ。


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   金子鈴幸(過去作/ちはやふる-めぐり-) 第5
   湯田美帆(過去作/帰ってきたらいっぱいして。) 第7
演出:小村昌士(過去作/サブスク彼女) 第1~4,8,9
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音楽:境直哉(過去作/不明)
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しかし、捻りを利かせた展開だったのは前回の「前編」のみで、「後編」である今回は至ってフツーの展開だ。

敢えて言うなら、第9話のサブタイトル『俺たちに明日はない~余命1ヶ月の逃避行~』をそのまま映像化したような内容だ。

解説するまでもないが、サブタイトルに引用されている『俺たちに明日はない』は、1967年制作のアメリカ映画で、アメリカン・ニューシネマというムーブメントをけん引する映画の一つだ。

解説するまでもないが、サブタイトルに引用されている『俺たちに明日はない』は、1967年制作のアメリカ映画で、アメリカン・ニューシネマというムーブメントをけん引する映画の一つだ。

というわけで、本作の嗣江と岬が、『俺たちに明日はない』のボニー&クライドという建付けだ。

但し、全体に流れる空気感は、本作ならではの《臨終=人が息を引き取る間際、または亡くなる瞬間のことを指す仏教用語「臨命終時」の略》である。

明るい未来を描くわけではないが、前回で足の切断をしたサッカー少年・琢磨(市原匠悟)を盛り込むことで、希望の光を盛り込んだのが本作の良心であり救いだ。

しかし、やはりそこは、“連ドラ” としても、嗣江の死期にしても、最後が近づいているため切実な内容だった。

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朝ドラ「ばけばけ」東大学長も驚く高給取り!手紙1通でクビになった小泉八雲の意地
Image created with DALL・E

【忠告】
朝ドラ『ばけばけ』の先の展開のネタバレは基本的に書いてありませんが。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、妻・セツ夫妻の[史実]について触れます。
あとから「読むんじゃなかった…」がないよう、読む際は自己責任でお願いします。
 ※以下、敬称は部分的に使い分けをします。



小泉八雲が帝国大学の講師を解雇された顛末にまつわる史実

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俳優・高石あかり(※高=はしごだか)さん主演でヒロイン・松野トキを、トミー・バストウさんがレフカダ・ヘブンを演じ、文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、妻・セツをモデルにしたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『ばけばけ』(NHK総合・月~土、午前8時~ほか)。

第24週『カイダン、カク、シマス。』では、主人公・トキの夫・ヘブが、義父・司之介(岡部たかし)に、東京帝国大学の講師を解雇されたことを告げ、ヘブンは学長からの手紙を見せ、自分が古い人間だと言われたことを語りました。

そこで今回は、小泉八雲が帝国大学の講師を解雇された顛末にまつわる[史実]を記してみます。

きっと、「本編」では採用されない(と思います)エピソードを知ることになるので、より今作を深読みできると思います。


特別な条件で招かれた日本での教師生活

朝ドラ『ばけばけ』の第24週では、主人公の夫であるヘブンが東京帝国大学からクビを言い渡される場面が描かれた。

このモデルとなった小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)も、実際に明治36(1903)年1月に突然の手紙によって解雇を伝えられている。

もともと八雲がこの大学で教え始めたきっかけは、明治28(1895)年に当時の学長だった外山正一から熱心に誘われたことだった。

翌年には日本に帰化して日本人となっていたが、八雲の才能を高く評価していた外山のおかげで、外国人教師と同じような良い条件で契約を結ぶことができた。

明治29(1896)年9月から、八雲は家族と一緒に東京へ移り、英文学を教える生活をスタートさせた。


学長も驚く?破格の給料とその評価

八雲の仕事ぶりは非常に高く評価されており、それは給料の額にもはっきりと表れていた。

明治34(1901)年には、彼の月給は450円(令和8年換算でおよそ200万円から450万円程度)にまで上がっていた。

当時の東京大学が公開している記録を見ると、八雲がいかに特別な存在だったかがよく分かる。


総長は3,500円、文科大学学長は1,600円、文科大学にいた外国人4名の教師は1週間の講義時間もほぼ同じでエミール・エックが1,500円、カール・フローレンツが3,600円、ルートヴィヒ・リースとラファエル・フォン・ケーベルは4,440円、前任のアメリカ人教師オーガスタス・ウッドは4,200円であり、八雲が高く評価されていたことが見て取れます

 ※出典:東京大学 120年史

八雲の年収は4800円(令和8年換算でおよそ2,100万円から4,800万円程度)に達しており、なんと自分を雇っている学長の3倍近い金額を受け取っていた。

授業は学生たちにとても人気があり、教壇に立つ時間は主に午前中から昼過ぎまでと、執筆活動を大切にする八雲にとって理想的な環境であった。


たった一通の手紙が招いた大騒動

しかし、理解者であった外山が亡くなった後、運命は一変する。

明治36(1903)年1月15日、新しい学長である井上哲次郎から、あっさりと「解雇」を伝える手紙が届いた。

八雲が何よりも許せなかったのは、長年勤めた自分に対して、話し合いもなく紙切れ一枚で済ませようとした大学側の冷たい態度であった。

妻のセツは、当時の八雲の様子を振り返っている。


ヘルンは大学を止められたのを非常に不快に思っていました。非常に冷遇されたと思っていました。普通の人に何でもない事でも、ヘルンは深く思い込む人ですから、感じたのでございます。大学には永くいたいと云う考は勿論ございませんでした。あれだけの時間出ていては書く時間がないので困ると、いつも申していましたから、大学を止められたと云う事でなく、止められる時の仕打ちがひどいと云うのでございました。只一片の通知だけで解約をしたのがひどいと申すのでございました

 ※出典:小泉セツ『思ひ出の記』

この事件は新聞でも報じられ、八雲を慕う学生たちが「先生をやめさせないでほしい」と激しい留任運動を起こすほどの大騒ぎになった。

あわてた学長が八雲の家を訪ね、条件を変えて残ってほしいと頼み込んだが、プライドを傷つけられた八雲が首を縦に振ることはなかった。


新しい道と次に来た超有名な文豪

東京帝国大学を去った八雲には、アメリカやイギリスの名門大学からも誘いが来たが、彼は日本に留まる道を選んだ。

明治37(1904)年3月からは早稲田大学で教え始め、穏やかな環境で再び学生たちと向き合うことになった。

ちなみに、八雲がいなくなった後の東京帝国大学で、後任として教壇に立ったのは夏目漱石である。

さらに、ちなみに、夏目漱石は熊本大学の前身である第五高等学校で、小泉八雲の後任の英語教師を務めた。

世界的に有名な作家である八雲の後を継ぐことは、あの漱石にとっても大きなプレッシャーだったようだ。

漱石の妻である鏡子は、当時の夫の弱音をこのように記している。


小泉先生は英文学の泰斗でもあり、また文豪として世界に響いたえらい方であるのに、自分のような駆け出しの書生上がりのものが、その後釜にすわったところで、とうていりっぱな講義ができるわけのものではない。また学生が満足してくれる道理もない

 ※出典:夏目鏡子『漱石の思い出』


あとがき

小泉八雲という人物が、当時の日本でどれほど大切にされ、また学生たちから愛されていたかがよく分かるエピソードですね。

学長よりも高いお給料をもらっていたという事実には驚きましたが、それ以上に、お金や地位よりも「人としての礼儀」を重んじた八雲の真っすぐな性格がとても魅力的だと感じました。

そんな彼だからこそ、現代まで読み継がれる温かい物語を書くことができたのかもしれません。

ドラマで描かれるフィクションの奥に、こうした史実を知ることで、物語がより深く、温かく感じられると思います。

読者の皆様の “ドラマを楽しむ” ためのお役に立てれば幸いです。


参考・出展

『小泉セツとハーンの物語: ー小泉八雲「怪談」誕生のひみつー』三成清香(著)少年写真新聞社 新窓で開きます
『小泉八雲 漂泊の作家ラフカディオ・ハーンの生涯』工藤美代子(著)毎日新聞出版 新窓で開きます
『ヘルンとセツ』田淵久美子(著)NHK出版 新窓で開きます
『セツと八雲』小泉凡(著)朝日新聞出版 新窓で開きます
『小泉八雲とその妻セツ 古き良き「日本の面影」を世界に届けた夫婦の物語』青山誠(著)KADOKAWA 新窓で開きます
『面白すぎて誰かに話したくなる 小泉八雲とセツ』伊藤賀一(著)リベラル社 新窓で開きます『八雲の妻:小泉セツの生涯』長谷川洋二(著)今井書店 新窓で開きます
『小泉八雲と妖怪』小泉凡著(著)玉川大学出版部 新窓で開きます
『怪談・骨董』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『日本瞥見記(上・下)』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『東の国から・心)』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『思ひ出の記』小泉節子(著)・小泉八雲記念館(監修)ハーベスト出版 新窓で開きます
『ドラマ人物伝 小泉八雲とセツ:「怪談」が結んだ運命のふたり』NHK出版(編)NHK出版 新窓で開きます
『ラフカディオハーンが愛した妻 小泉セツの生涯』櫻庭由紀子(著)内外出版社 新窓で開きます
■「詳述年表ラフカディオ・ハーン伝」板東浩司(著)英潮社
■「小泉八雲: 思い出の記・父八雲を憶う」小泉節子,小泉一雄(著)恒文社
■https://archive.org/details/kottojapanese00hearrich KOTTO
■https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.79571/page/n13/mode/2up KWAIDAN
■https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.45846/page/n11/mode/2up Out Of The East
■https://archive.org/details/glimpsesofunfami0lhear Glimpses of unfamiliar Japan vol.1
■https://archive.org/details/glimpsesofunfami02hear Glimpses of unfamiliar Japan vol.2
■「松江に於ける八雲の私生活」桑原羊次郎(著)山陰新報社
『ラフカディオ・ハ-ンのアメリカ時代』エドワード・ラロク ティンカー(著)木村勝造(訳)ミネルヴァ書房 新窓で開きます
■『小泉八雲事典』平川祐弘(監修)恒文社
『夢の途上: ラフカディオ・ハーンの生涯〈アメリカ編〉』工藤美代子(著)集英社 新窓で開きます
『評伝ラフカディオ・ハーン』E.スティーヴンスン(箸)遠田勝(訳)恒文社 新窓で開きます
『小泉八雲 日本を見つめる西洋の眼差し』筑摩書房編集部(箸) 新窓で開きます
『明治時代の人生相談』山田邦紀(著)幻冬舎 新窓で開きます
■富田旅館の証言(国立国会図書館サーチ〈NDLサーチ〉 新窓で開きます
レファレンス協同データベース 新窓で開きます
島根郷土資料刊行会編「西田千太郎日記」 新窓で開きます
国立国会図書館蔵書「小泉八雲全集 第1-17巻」 新窓で開きます
名古屋大学「人事興信録」データベース 新窓で開きます
書陵部所蔵資料目録・画像公開システム - 宮内庁 新窓で開きます
『父小泉八雲』小泉一雄(箸)小山書店 新窓で開きます
『小泉八雲「見えない日本」を見た人』畑中章宏(著)光文社新書 新窓で開きます
『ラフカディオ・ハーン-異文化体験の果てに』牧野陽子(著)中公新書 新窓で開きます
『さまよえる魂のうた 小泉八雲コレクション』小泉八雲(著)、池田雅之(編)ちくま文庫 新窓で開きます
『小泉八雲と松江―異色の文人に関する一論考』池野誠(著)島根出版文化協会 新窓で開きます



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連続テレビ小説「ばけばけ」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『ばけばけ』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第117回第24週『カイダン、カク、シマス。』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


なぜか帝大に行かず、ミルクホールにいるヘブン(トミー・バストウ)。いったいヘブンはそこで何をしているのか?翌朝、ヘブンが実はミルクホールに通い詰めているとは思いも知らないトキ(髙石あかり)や家族たち。しかし、司之介(岡部たかし)だけはヘブンの様子に違和感を覚える。そして……今日も今日とてミルクホールにいるヘブン。その前に、司之介が現れる。「同じ“匂い”」を感じたと司之介は話しだす。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


原作:なし
脚本:ふじきみつ彦(過去作/バイプレイヤーズ,きょうの猫村さん,一橋桐子の犯罪日記)
演出:村橋直樹(過去作/まれ,透明なゆりかご,サギデカ) 第1,2,5,7,13,14,19,23
   泉並敬眞(過去作/スカーレット,カムカムエブリバディ,ブギウギ) 第3,6,9,12,15,18,24
   松岡一史(過去作/まんぷく,心の傷を癒すということ,カムカムエブリバディ) 第4,8,10,16
   小島東洋(過去作/『ばけばけ』助監督) 第11,21
   小林直毅(過去作/『ばけばけ』助監督) 第17,20,22
制作統括:橋爪國臣(過去作/青天を衝け,あなたのブツが、ここに,ブギウギ)
音楽:牛尾憲輔(過去作/チェンソーマン,僕の心のヤバイやつ,ダンダダン)
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
土曜日版ナレーション:北郷美穂子(NHK大阪アナウンサー)
副音声解説:山崎健太郎(過去作/舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ,虎に翼,おむすび)
副音声日本語吹替:西地修哉(ヘブン担当)、木村はるか(リヨ担当)
タイトル写真:川島小鳥(過去作/未来ちゃん,SHISHAMOアートワーク)
タイトルロゴ:西沢和樹(instagram.com/nishizawa_k/)
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、川野秀昭、田中陽児|美術:山内浩幹、淀裕矢、向理沙、有本弘、和田岳秋|技術:増田徹、備中正幸、酒井俊史|音響効果:松本有加、巽浩悦、吉田直矢|撮影:岩崎亮、関照男|照明:根来伴承、大西弘憲、武井美晴|音声:吉竹淳樹、稲垣雄二、大成友二、安河内裕斗|映像技術:前田惇徳、原幸介、山下健、若嶋なな、日野維乃|カラーグレーディング:原幸介、前田惇徳、山下健、日野維乃、若嶋なな|VFX:西垣友貴、神戸大樹、山田茂人、北島規、北島規、眞弓敬司|CG:大西智子、空閑卓海、古市百人、佐藤望、田邊亮哉、大関聡|美術進行:澤幸樹、嶋原広起、大塚良子、厚朴美沙子、毛尾喜泰|装置:佐藤千織、坂口大吾、山中宏華、澤井洸、平松康、吉田隆広、布川紗生、大島櫻子|装飾:津村政幸、横田浩之、長洲史、横田浩之、高浪隆史、三好勇作、石井千尋、三村つかさ、田中美紅|特殊効果:奥村陵、宮崎真有|衣装:横山智和、中村みのり、鍛本美佐子、横山智和、石川カンナ|メイク:堀洋子、正田早百合、秋山直美、櫻井安里紗|持道具:楠正由貴、森上陽子、高屋友里|かつら:松本誠也、丹波峯子、山崎浩彦、栗野洋子|特殊メイク:江川悦子、権田日和、山埼佳子|特殊メイク協力:荒井律子、大谷美咲、山埼佳子|助監督:小林直毅、小島東洋、田中陽児、早川俊介、岡本拓大、後藤怜亜、大野陽平、小峰陸矢、上野香織、佐伯木乃実、畝岡歩未、増田愛海、野曾原明香、中元芽生、佐々木俊、石名遥、木村修|制作担当:木村晴治、長岡しのぶ、本田良太、森岡あゆみ、片山哲治、斎藤明日香、竹本航、徳岡美紀、奥山温子|取材:川野秀昭、鈴木航|編集:藤澤加奈子|記録:木本裕美|時代・風俗考証:刑部芳則|松江風俗考証:藤岡大拙|出雲ことば指導:多々納斉、松島彩|熊本ことば指導:梅原勇輝|所作指導:藤間豊宏|料理指導:広里貴子|英語指導:塩屋孔章、ネイサン・ベリー、米倉リエナ|英字指導:前田祐加|眼科指導:大路正人、川村肇|医事指導:矢木崇善|助産指導:前田利子|怪談ばなし指導:玉田玉秀斎|茶道指導:有澤一男|三味線指導(タエ):菊央雄司|三味線指導(遊郭):長江浩子|アクション指導:中村健人|日本画指導:諫山恵実|絵画指導:苅谷昌江|華道指導:神前光園|造園:堤正和、宮崎昭徳|書道指導:今口鷲外|ほら貝指導:林龍沁
※敬称略




曜日が示す“静かな伏線”

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私のブログをご訪問いただき、心から感謝申し上げます。
―――ここまで、ごあいさつ―――

今回をもって残り約2週、いや正確には残り9回となった第117回だ。

そんな「117回」も見てきた中で、おそらく‘お初?’と感じたのが《曜日の強調》だ。


クマ「木曜日は 朝の8時半から講義ですけん」
   ※   ※   ※
フミ「今日が何曜日かなんて
 関係ございませんもんね あなたには」
   ※   ※   ※
司之介「月曜日と火曜日…」

前回の感想で「怪談ネタは金曜日までお預けになる」との予想を宣言した。

複数の読者様から「みっきーさんの予想は当たるから」「どうして予想できるの?」などのコメントをいただいた。

例えば、今回の前段の「劇中での曜日に関する言及」からだって、それが読み取れるのだ。

要するに、この女中・クマ(夏目透羽)、司之介(岡部たかし)、フミ(池脇千鶴)のセリフ自体が “ネタ振り” なのだ。

だって、放送前、執筆前から、この第23週は2026年3月の第3週目に放送予定であることは決まっていることで。

緑その週の金曜日は「春分の日」の祭日で、三連休の初日であること、ついで言えば「視聴率が下がりやすい日」であることも分かった上で、脚本を書いているし、撮影や編集もやっているのだ。

そう鑑みれば、このセリフ群が示しているのは《木曜日まで何も起こらない》であり、《金曜日’ならないと怪談は描きません》という意思表示にしか受け取れないのだ。

もちろん、異論反論あると思うが、《火曜日だって、何も起こらなかった》ことからも、「水曜日も木曜日も何も起こらない」のはほぼ確定だと思うが。


日常を描くことと“引き延ばし”の境界線

しかし、弁解するつもりはないが、私は決して《何かが起これ!》《騒動を描け!》なんて思いは1ミリもない

なぜなら、人間の本質を描くという意味での「ドラマ」とは「日常を丁寧に描くこと」であり。

本来の “ドラマ” の醍醐(だいご)味は《ありふれた日常が予期せず非日常になる》ことを “虚構の中の真実” として、《映像で見せて(show)魅せる(captivate)》ことで。

かみ砕いていえば、《日常がふと特別に変わる瞬間を映し、心を動かすのがドラマ》だからだ。

要するに、何気ない日常を丁寧に描くことが “ドラマ” の醍醐味を形成する大前提なのだ。

だから、本作の脚本担当であるふじきみつ彦氏が推進中の「何も起こらない物語」を否定はしない

しかし、前述したように《非日常になる(今週なら「怪談ネタを始める」》をやるまで、闇雲に引っ張り続けるのは “連ドラ” としてはよいとは思えないし、何よりも面白みに欠けると思う。


年齢表現の曖昧さが奪う“時間の重み”

「面白みに欠ける」の意味で、今回のエピソードで感じたこと。

それは、本作における《登場人物の年齢の描き方》への残念さだ。

そもそも、本作は《時間経過の表現が曖昧》で進めてきた連ドラだ。

何となく「住む家」や「住む場所」が変わることで、時間経過を表現してきただけで、「いまが●年●月」のような描写はそれほどなかった。

これと同じ表現が《登場人物の年齢の描き方》なのだ。

それこそ、極端に言えば、トキ(高石あかり※高=はしごだか)なんて、第5~10週は「22歳」、第11~19週は「23歳」、第20~23週は「24歳」、第23週は「25歳」と、18週間で3歳しか歳を取っていない。

そして、今週の第24週でようやく「35歳」だが、正直言うと「見た目の変化はほぼない」のだ。

一方のヘブン(トミー・バストウ)も、第5~23週で「40~43歳」になっただけ(第24週は53歳設定)。

今週の月曜日に、勘右衛門(小日向文世)が‘ナレ死’したが、劇中の時代(明治36〈1903〉年)を考えれば、当時の平均寿命は男女共に「約44歳」である。
 ※諸説あります。
 ※参考:https://www.mmjp.or.jp/kawakami-clinic/data/kosei91b.htm?utm_source=copilot.com

こうなれば、次に亡くなる可能性が高いのは… そういうことだ。

だからこそ、もう少し脚本的にも映像的にも《登場人物の年齢の描き方》を工夫していれば、今回のミルクホールでのヘブンと司之介のやり取りにも深みや奥行きが出たと思う。

例えば、10年前設定の「熊本」で、もっともっとヘブンと司之介の “若さ” を強調させるエピソードをやるべきだったのでは? とか。


『ばけばけ』の物語が"薄っぺら"に見えてしまう3つの理由

さて、これまで「いつ書こうか」と時期をうかがっていたことがある。

それは、ドラマ『ばけばけ』を観ていて、どこか「作りものっぽさ」や「物語の浅さ」を感じる点だ。

そう感じる理由は、[史実]との違い以前に、登場人物の行動や心理に一貫性が乏しいからだ。

今回は、そこを深掘りしてみる。


ヘブンの「情熱」がブレすぎている

ヘブンは、日本に強く惹かれて暮らしていると「松江時代」では描かれていた。

しかし、イライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)から少し誘われただけで「フィリピンに行こうかな」と迷ったり、「もう書くことがない」と弱音を吐いたりした。

確かに、人間だからブレることがないとは言わない

しかし、繰り返すが、人間の本質を描くという意味での “ドラマ” における主人公としては、ひとつのことに人生をかけている設定を貫き通すべきだったと思う。

ちょっとしたきっかけで簡単に気持ちが揺らいでしまう設定にしてしまったら、ヘブンが語る「日本への愛」が口先だけのものに見えてしまうのだ。


「感動させるため」の強引なケンカ

第23週では、親友であるはずの錦織(吉沢亮)がヘブンに対して冷たい態度をとった。

脚本家は「あえて突き放すことで、相手をやる気にさせる友情」を描きたかったのかもしれない。

しかし、今まで仲が良かった二人が、急にギクシャクする展開自体が、まず不自然では?

やはり、視聴者に「かわいそう」「悲しい」と思わせるために、キャラクターの性格を無理やり変えているように見えてしまった。


大事なことを報告し合わない「偽物の友情」

久しぶりに再会した幼馴染のトキとサワの関係にも疑問が残る。

久しぶりに再会した際、二人は互いの「結婚」や「出産」という大ニュースを初めて知って驚いた。

本当に深い絆がある親友なら、離れていても手紙などで近況を知らせ合うはずである。

やはりここでも、ドラマの後半で「再会の驚き」を演出するために、あえて情報を隠していたように見えた。

そのせいで、二人の友情がとても浅いものに感じられたのだ。


要するに、小手先のテクニックが限界にきている

物語に変化をつけるために、「仲違いさせる」「迷わせる」「偶然再会させる」といった手法を使うのはドラマの定番だ。

しかし、それがキャラクターの本来の性格を無視して行われると、視聴者は冷めてしまう。

「感動させよう」という制作側の意図が透けて見え、肝心の人間ドラマが置いてけぼりになっていることが、世間での話題性や視聴率の低下にもつながっているのかもしれない…
 ※参考:NHK朝ドラ『ばけばけ』熊本編は「画面がジゴク」下降線をたどった“最大の要因”は『吉沢亮ロス』か | 週刊女性PRIME 新窓で開きます


あとがき

「何も起こらない物語」なのはよいとしても、これまでの24週間を見てきて感じるのは、いわゆる人間の本質を描くという部分での「‘人間ドラマ’がほぼない」ことなのです。

「人間が何に触れ、何を思い、何を考え、どう行動するのか?」という一連の流れみたいなものが、弱いのです。

「あった」とするなら、トキが雨清水の娘であることが判明した際、トキがヘブンとの結婚を意識した際、ラシャメン騒動の際、これくらいでは?

きっと、今週末(金曜日)で、執筆者としての自分と家族を養うためにベストセラーを書こうと意識しまくったヘブンが「トキのために怪談書く」のだと思います。

今週の最大の見どころは‘これ’を「ヘブンの物語」ではなく「トキとヘブンの物語」へ昇華できるのか? だと思います。


お知らせ

今朝、「本編」よりも少し先を行って、小泉八雲の死と、夫の死後の妻セツさんの生きざまに関する「補足記事」を投稿しました。

「本作が最終回でどこまで描くのか?」分かりませんので、読み物として読んでみてください。

朝ドラ「ばけばけ」愛する夫・小泉八雲の遺志を継ぎ、波乱の人生を笑顔で駆け抜けた妻セツの物語 新窓で開きます


厳選『ばけばけ』で描かれない秘話の解説リンク集
●八雲×セツ「万物に霊が宿るアニミズム思想」 → こちら 新窓で開きます
●八雲先生が"英語"で伝えた日本の文化 → こちら 新窓で開きます
●八雲先生が"英語"で伝えた日本の文化 → こちら 新窓で開きます
●超裕福生活でも"熊本生活は3年間"のワケ → こちら 新窓で開きます
●八雲の"息子の名前の由来"と"英才教育" → こちら 新窓で開きます
※他のリンクは下記↓の折り畳みの中!

文中の方言風の創作セリフは、下記のサイトを利用しています。
恋する方言変換 | BEPPERちゃんねる 新窓で開きます


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朝ドラ「ばけばけ」愛する夫・小泉八雲の遺志を継ぎ、波乱の人生を笑顔で駆け抜けた妻セツの物語
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【忠告】
朝ドラ『ばけばけ』の先の展開のネタバレは基本的に書いてありませんが。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、妻・セツ夫妻の[史実]について触れます。
あとから「読むんじゃなかった…」がないよう、読む際は自己責任でお願いします。
 ※以下、敬称は部分的に使い分けをします。



小泉八雲が亡くなる際、そして遺族となった妻セツの生き方

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―――ここまで、ごあいさつ―――

俳優・高石あかり(※高=はしごだか)さん主演でヒロイン・松野トキを、トミー・バストウさんがレフカダ・ヘブンを演じ、文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、妻・セツをモデルにしたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『ばけばけ』(NHK総合・月~土、午前8時~ほか)。

第24週『カイダン、カク、シマス。』では、松野家(ヘブン一家)が熊本から東京へ移住し、二人の息子がいる桃源郷のような生活が描かれています。

そこで今回は、ドラマの一歩先を進んで、小泉八雲が亡くなる際、そして遺族となった妻セツの生き方にまつわる[史実]を記してみます。

きっと、「本編」では採用されない(と思います)エピソードを知ることに」なるので、より今作を深読みできると思います。


虫の知らせと、夫が望んだ静かな眠り

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、虫の鳴き声をこよなく愛する人であった。

特に松虫がお気に入りで、大切に飼っていたが、ある日その声がどこか悲しく聞こえた。

妻のセツは、それが何かの不吉な予兆であると感じ取る。

予感は現実となり、明治37(1904)年9月26日、八雲は心臓の病でこの世を去った。

彼は死の間際、自分を田舎の静かなお寺に埋めてほしいと願った。

36歳で夫を失ったセツは、悲しむ間もなく葬儀の準備に追われる。

多くの外国人が眠る青山霊園も候補に上がったが、セツは夫が生前に散歩を好んだ雑司ヶ谷の墓地を選んだ。

そこには今も、彼女が建てた墓が静かに佇んでいる。


桜の花の返り咲き、長い旅の夢、松虫は皆何かヘルンの死ぬ知らせであったような気が致しまして、これを思うと、今も悲しさにたえません。

 ※出典:小泉節子『思い出の記』より

雑司ヶ谷の共同墓地は場所も淋しく、形勝の地でもあると云うので、それにする事に致しました。一体雑司ヶ谷はヘルンが好んで参りましたところでした。

 ※出典:小泉節子『思い出の記』より


大家さんへの挑戦と、故郷から届いた助け舟

墓を建て終えても、セツの苦労は絶えなかった。

家には育ち盛りの子供たちが4人もおり、さらには親族の面倒も見なければならない。

広い屋敷を維持する費用もかさむ中、夫が残した貯金がいつか底をつくことは明らかであった。

そこで彼女は、敷地内に家を建てて人に貸し出すという大胆な決断を下す。

大正3(1914)年に近くの新大久保駅が開業すると、この地域は急速に発展していく。

彼女の先を見通す力は、家族の生活を守る大きな助けとなった。

この困難な時期にセツを支えたのは、同じ松江出身の親しい人々であった。

法律家の梅謙次郎などは、著作権の扱いについて的確な助言をくれた。

かつて国際結婚を冷ややかな目で見られたこともあったが、困った時に助けてくれる同郷の存在は、セツの心を温めた。


震災の悲劇と、息子に寄り添う母の心

横浜のホテル経営者であったマクドナルドも、八雲の遺産を管理し、長男の一雄を就職させるなど親身になってくれた。

しかし、大正12(1923)年の関東大震災で、マクドナルドは命を落としてしまう。

頼りにしていた存在を失ったショックから、一雄は心を病んで引きこもるようになり、セツの悩みは深まっていった。

夫の死後、意外な人物もセツの支えとなった。

アメリカの作家エリザベス・ビズランドである。

彼女はかつて八雲が憧れた女性であったが、セツとの間にわだかまりはなかった。

ビズランドは八雲の伝記を執筆し、その印税をすべてセツに贈った。

二人は手紙を通じて交流を深め、明治44(1911)年には日本での対面も果たした。

セツは夫の昔話を語り合える友人として、彼女を温かく迎え入れたのである。


重い荷物を下ろして見つけた、自分らしい生き方

大きな転機が訪れたのは震災の翌年であった。

セツは夫が大切にしていた膨大な蔵書を、今の富山大学へ寄贈することにした。

貴重な本が火災などで失われることを恐れた彼女は、信頼できる場所に託すことで、心の安らぎを得た。

「これで肩の荷が下りた」と感じたセツは、それ以降、自分のための時間を大切にするようになる。

歌舞伎の鑑賞や茶道などの趣味に没頭し、かつては避けていた松江への帰郷も楽しむようになった。

心配していた一雄も、田舎での静養を経て、父との思い出を本にまとめるなど、徐々に元気を取り戻していった。


笑顔で旅立ち、再び愛する人の隣へ

昭和7(1932)年2月18日、セツは64歳の生涯を閉じた。

最期は夫と同じように、穏やかな微笑みを浮かべていたという。

彼女の亡骸は、約束通り雑司ヶ谷の墓地にある夫の隣に埋葬された。

二人の墓石は、今も仲良く並んで立っており、静かに語り合っているかのようである。
 ※中央が八雲の墓、左が妻セツの墓、右は小泉家の墓


小泉八雲と妻セツの墓
©AERA DIGITAL(東京都豊島区の雑司ケ谷霊園には二人の墓が仲良く並んでいる)


あとがき

小泉セツさんの歩んだ道は、決して平坦なものではありませんでした。

しかし、持ち前の明るさと行動力で困難を乗り越え、晩年には自分自身の幸福をしっかりと掴み取った姿に、とても勇気づけられます。

大切な人を想い続けながら、前を向いて生きる素晴らしさを教えてくれる物語ですね。

ドラマで描かれるフィクションの奥に、こうした史実を知ることで、物語がより深く、温かく感じられると思います。

読者の皆様の “ドラマを楽しむ” ためのお役に立てれば幸いです。


参考・出展

『小泉セツとハーンの物語: ー小泉八雲「怪談」誕生のひみつー』三成清香(著)少年写真新聞社 新窓で開きます
『小泉八雲 漂泊の作家ラフカディオ・ハーンの生涯』工藤美代子(著)毎日新聞出版 新窓で開きます
『ヘルンとセツ』田淵久美子(著)NHK出版 新窓で開きます
『セツと八雲』小泉凡(著)朝日新聞出版 新窓で開きます
『小泉八雲とその妻セツ 古き良き「日本の面影」を世界に届けた夫婦の物語』青山誠(著)KADOKAWA 新窓で開きます
『面白すぎて誰かに話したくなる 小泉八雲とセツ』伊藤賀一(著)リベラル社 新窓で開きます『八雲の妻:小泉セツの生涯』長谷川洋二(著)今井書店 新窓で開きます
『小泉八雲と妖怪』小泉凡著(著)玉川大学出版部 新窓で開きます
『怪談・骨董』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『日本瞥見記(上・下)』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『東の国から・心)』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『思ひ出の記』小泉節子(著)・小泉八雲記念館(監修)ハーベスト出版 新窓で開きます
『ドラマ人物伝 小泉八雲とセツ:「怪談」が結んだ運命のふたり』NHK出版(編)NHK出版 新窓で開きます
『ラフカディオハーンが愛した妻 小泉セツの生涯』櫻庭由紀子(著)内外出版社 新窓で開きます
■「詳述年表ラフカディオ・ハーン伝」板東浩司(著)英潮社
■「小泉八雲: 思い出の記・父八雲を憶う」小泉節子,小泉一雄(著)恒文社
■https://archive.org/details/kottojapanese00hearrich KOTTO
■https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.79571/page/n13/mode/2up KWAIDAN
■https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.45846/page/n11/mode/2up Out Of The East
■https://archive.org/details/glimpsesofunfami0lhear Glimpses of unfamiliar Japan vol.1
■https://archive.org/details/glimpsesofunfami02hear Glimpses of unfamiliar Japan vol.2
■「松江に於ける八雲の私生活」桑原羊次郎(著)山陰新報社
『ラフカディオ・ハ-ンのアメリカ時代』エドワード・ラロク ティンカー(著)木村勝造(訳)ミネルヴァ書房 新窓で開きます
■『小泉八雲事典』平川祐弘(監修)恒文社
『夢の途上: ラフカディオ・ハーンの生涯〈アメリカ編〉』工藤美代子(著)集英社 新窓で開きます
『評伝ラフカディオ・ハーン』E.スティーヴンスン(箸)遠田勝(訳)恒文社 新窓で開きます
『小泉八雲 日本を見つめる西洋の眼差し』筑摩書房編集部(箸) 新窓で開きます
『明治時代の人生相談』山田邦紀(著)幻冬舎 新窓で開きます
■富田旅館の証言(国立国会図書館サーチ〈NDLサーチ〉 新窓で開きます
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書陵部所蔵資料目録・画像公開システム - 宮内庁 新窓で開きます
『父小泉八雲』小泉一雄(箸)小山書店 新窓で開きます
『小泉八雲「見えない日本」を見た人』畑中章宏(著)光文社新書 新窓で開きます
『ラフカディオ・ハーン-異文化体験の果てに』牧野陽子(著)中公新書 新窓で開きます
『さまよえる魂のうた 小泉八雲コレクション』小泉八雲(著)、池田雅之(編)ちくま文庫 新窓で開きます
『小泉八雲と松江―異色の文人に関する一論考』池野誠(著)島根出版文化協会 新窓で開きます



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【自己紹介】
東京下町生まれ千葉県在住。
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  • 過去の連ドラの感想記事一覧(や~わ)
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[や]
やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる
やさしい猫
ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~
屋根裏の恋人
山田孝之の東京都北区赤羽
ヤメゴク
ユーミンストーリーズ2024
ゆとりですがなにか
ユニコーンに乗って
ユニバーサル広告社
妖怪シェアハウス
ようこそ、わが家へ
4号警備
40万キロかなたの恋
4分間のマリーゴールド
[ら]
ライオンの隠れ家
ラヴソング
ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~
ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~
THE LAST COP/ラストコップ
ラストチャンス 再生請負人
ラスト・ドクター~監察医アキタの検死報告~
ラストマン-全盲の捜査官-
らんまん
リーガル・ハート ~いのちの再建弁護士~
リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~
リエゾン-こどものこころ診療所-
陸王
リコカツ
リスクの神様
リバース
リバーサルオーケストラ
リピート ~運命を変える10か月~
#リモラブ ~普通の恋は邪道~
竜の道 二つの顔の復讐者
路(ルウ)~台湾エクスプレス~
ルパンの娘[1]
ルパンの娘[2]
流星ワゴン
臨床心理学者 火村英生の推理
レッドアイズ 監視捜査班
恋愛時代
レンアイ漫画家
レンタル救世主
レンタルなんもしない人
レンタルの恋
六畳間のピアノマン
6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱
[わ]
ワイルド・ヒーローズ
若者たち2014
私 結婚できないんじゃなくて、しないんです
私たちはどうかしている
ワタシってサバサバしてるから
わたし、定時で帰ります。
わたしを離さないで
私のおじさん~WATAOJI~
私の家政夫ナギサさん
罠の戦争
わにとかげぎす
わろてんか

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